コラムの内容には、架空の話も含まれます。
くれぐれも、ご注意ください。



『防衛省より金融省』 2006年1月25日(水)

ある金融庁の若手官僚が、自民党本部の「財務・金融部会」の部会 長・岩永浩美参院議員を訪れました。

「岩永先生、お忙しいところありがとうございます」
「ああ、いいんだけど、時間がないから、手短にね」
「あっ、はい。それでは、、、」
と若手官僚は、作成してきた文書を手渡した。

岩永先生は、パラパラとめくりながら、
「うん、あとで読むけど、概略、どういうこと?
この件で、来たのかな?」
「はい、先生。要件と申しますのは、うちの金融庁を金融省に格上げ していただきたいと、、、」
「金融省? どういうことかね?」
「詳しくは、そちらに書いてありますが。
国民があまり要望しない防衛庁から防衛省への昇格を図るよりも、日 本経済の変化に対応すべく、現在の金融庁を、金融省に格上げして、 より大きな役割を果たせるようにしていただきたい。そういうお願い です」

岩永先生は、時計を気にしながら、
「う〜ん、もう少し、詳しく聞こうか」といった。
「はい、ありがとうございます。
昔の金融は、銀行などでも、すべて“護送船団方式”でした。
財務省というか、当時の大蔵省が、“箸の上げ下ろしまで”と評される ほど、こと細かく、行政指導してきました。」
「それは、それで意味があったんじゃないの?」
「その通りです、先生。
飛びぬけて、大儲けする金融機関もないかわりに、倒産もありませんで した。まぁ、倒産するときも、その後始末といいましょうか、他の金融 機関に吸収してもらうとか、措置をとって、しっかり面倒をみていまし た。」
「でも、それは続かなかった。」
「はい、先生。
海外の金融機関は、その間、生き残りをかけて競争し、日々、進化して ました。次々と新しい金融商品を開発したものです。 ぬるま湯につかっていた日本の金融機関は、それに乗り遅れたのです。」
「そこで、金融ビッグ・バンだ」
「ええ。
細かく指導する“護送船団方式”をやめ、自由競争の時代に入りました。 あらかじめ、争いが起こらないよう指導していたのを、ルールを定めて おいて、争いが起こったら、それに従って判断するという“事後審査型” に移行したのでした」

岩永先生は、わかりきったことを説明する若手官僚に、少しイラ付いた のか、「それで、要点は?」と聞いた。
「あっ、それでですね。ところが、先生。
事後審査するためのちゃんとしたルールができてなかったのです。」
「どういうことかね?」
「ライブドア事件です、先生。
ホリえもんに、株式市場に関するルールの甘さを、突かれてしまいまし た。しっかしりたルールを作らなければならないのに、わが国では、ま だ、それができてないんです」
「うん。まぁ、それはわかるが、キミの言う金融省とは、どういう関係 があるのかね?」

「それは、先生、最近のもう一つの動きがあるからです」
「というと?」
「“政治主導”です。
官僚は、政治家に従って、行政を行う。政策を決定するのは、役所じゃな く、政治家であると。政治家は官僚の上に立つのだ、とおっしゃる先生方 が多くて」
「それに反対というのかね?」
「いえ、先生。反対ではありません。ただ、、、」「ただ?」

「ええ、太蔵議員のような先生に、どうやって従ったらいいのかと?」
「太蔵議員?」
「杉村太蔵先生です。先生の政党の、、、」
「ああ〜。彼に問題があるのかね?」
「問題というか、、、。あのような先生を送り込まれても、どうやって、 従ったらいいのか、、、?」
「そりゃ〜、民意だから仕方ないさ。
もしも、それに不服なら、自分たちで、この人になら従えるという先生を 選べばいい!」
「はい、先生。われわれも、そう思いまして、片山さつきを議会に送り込 みました。」

「なるほど。」
「片山クン。いえ、片山さつき議員は、どうしてますか?」
「う〜ん、次の総理は、安倍晋三先生だと読んだんだろう。今じゃ、安倍 さんにべったりくっ付いてるそうだよ」
「せっかく議会に人材を送ったのに、そんなことを、、、?」
「政治家になったんだよ、キミ。」

岩永先生は時計を見て、言った。
「キミの話だと、いくら金融庁を金融省に格上げしても、政治主導だと、 やってくる先生に問題があるから、事態は変わらないんじゃないのかね?」
「いえ、先生。それでも、金融省となって、官僚の権限が大きくなれば、 われわれの手で決められることが増えますから、、、」
「それじゃ、昔に戻るのじゃないか?」
「ホリえもんに、のさばらせるより、よろしいかと?」

岩永先生は、席を立ちながら、言った。
「まぁ、時間がないから、今日はこれで。
杉村君には、しっかり勉強させるから。
まぁ、心配しないでくれ、、、といってもなぁ〜。
心配するよなぁ〜、、、」
「はぁ〜、、、」


金融庁長官:東証の「早期正常化」を要望

 五味広文・金融庁長官は23日、東証が取引時間を30分短縮して いることについて「できる限り早期の正常化が望ましい」とシステム の処理能力を向上させた上で速やかに元に戻すよう求めた。

 東証の西室泰三会長兼社長が20日、システム増強後も30分短縮 を当面続ける方針を表明。証券会社などの意見も踏まえた上で恒久的 な措置にすることも視野に検討したいとの考えを示していた。 毎日新聞 2006年1月23日
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東証 システム増強に指針を 金融庁に処理能力目安など策定要請へ
2006/1/25

 東京証券取引所の西室泰三会長兼社長は二十四日の定例会見で、金 融庁に対し、株式売買の取引処理能力の目安などを示した証券取引シ ステムの投資ガイドラインの策定を求める考えを明らかにした。

 与謝野馨金融担当相の直轄で新設される「証券取引所のあり方等に 関する懇談会(仮称)」に「官民が納得できる基準づくりを期待した い」とし、その意向をすでに与謝野金融相にも伝えた。

 西室社長は、二〇〇六年度から三カ年の新中期経営計画中の次世代 システム投資額は「五百億円は下らない」と明言。具体的な投資計画 は、金融庁のガイドラインで「証券界全体の次世代システムのあり方 の方向性が定まらないと固まらない」との認識を示した。

 ライブドアショックをきっかけとした売買取引の殺到で、現在、東 証は一日の取引件数に全株式を売買停止する上限を設定する異例の市 場運営を余儀なくされている。

 この非常措置や取引システムの処理能力の増強で後手を踏んだ東証 の経営判断には厳しい批判の声が上がっている。

 しかし、西室社長は「批判されてもしかたないが、(今回直面した 取引量の急増は)欧米取引所でもみられない急増で、(そもそも)ど れだけの売買量がどんなスピードで出てくるかはわからない」と、取 引量の予見は不可能と指摘した。

 そのうえで、「わからない以上、(売買量に対応する処理能力の考 え方に)何らかの基準を決めないといけない。東証だけで判断するに はあまりにも大きな課題で、与謝野金融担当相に、(直轄の懇談会で) まずシステム問題の検討をお願いした」と述べた。
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